道の駅・直売所で野菜が売れるPOPとは?92歳の生産者に学ぶ書き方

道の駅や直売所で野菜を販売している方から、よくいただくご質問があります。

「POPに何を書けばいいのか分からない」
「どうすれば、商品の魅力がお客さまに伝わるのでしょうか?」

そんな方にご紹介したいのが、以前、ある道の駅で見つけた一枚の手書きPOPです。

特別なテクニックを使ったPOPではありません。
けれども私は、そのPOPを読んで思わず足を止めました。

道の駅で見つけた一枚の手書きPOP

以前、家族で香川県を訪れたときのことです。

目的地へ向かう途中、小さな道の駅に立ち寄りました。

道の駅や直売所には、その土地ならではの商品や雰囲気があります。
特に買い物をする予定がなくても、私はつい売場を見て回りたくなります。

その日も、娘と一緒に野菜が並ぶコンテナを順番に見ていました。

すると、あるコンテナに一枚の手書きPOPが貼られていました。 

道の駅の野菜売場に掲示された92歳の生産者の手書きPOP
道の駅の野菜売場で見つけた、生産者自身の言葉で書かれたPOP

近づいて読んでみると、次のように書かれていました。

私が栽培しました。
今年2月で92才
まだまだ元気です。
水やり2時間順調に育ちました。
ぜひ召し上がってください。
どこより安い
かおるが育てた野菜です。

92歳の生産者が栽培の様子や想いを伝える野菜の手書きPOP

なぜ、このPOPに足が止まったのか

このPOPは、きれいにデザインされたものではありません。
目を引くキャッチコピーが書かれているわけでもありません。

それでも、作った方の姿が自然と浮かんできます。

  • どんな人が育てたのか
  • 何歳になっても元気に農作業を続けていること
  • 毎日、水やりに時間をかけていること
  • 自分が育てた野菜を食べてもらいたいという気持ち

商品名と価格だけでは見えなかった、生産者の人柄や栽培の背景が伝わってきます。

野菜そのものだけでなく、「かおるさんが育てた野菜」として見えるようになるのです。

これが、このPOPの大きな力だと感じました。

POPは、お客さまへの「ひと声」

POPに何を書けばよいか分からないときは、目の前にお客さまがいる場面を想像してみてください。

あなたの野菜を、興味深そうに見ているお客さまがいます。
その方に、どんな言葉をかけるでしょうか。

「今朝、収穫してきました」
「生でも甘く食べられますよ」
「毎年、この野菜を楽しみにしてくださる方がいるんです」
「まずは、こんな料理で味わってみてください」

実際にお客さまへ伝えたい言葉を、そのまま文字にする。

それが、POPの出発点です。

難しいキャッチコピーを考えなくても大丈夫

POPを書くとなると、

「目を引く言葉を考えなければ」
「短く、うまくまとめなければ」

と、難しく考えてしまうことがあります。

けれども、お客さまと会話をするとき、最初から気の利いた言葉を準備することは、それほど多くありません。

商品のよさを知ってもらいたい。
おいしく食べてもらいたい。

そんな気持ちで、自然に話しかけるのではないでしょうか。

POPも同じです。

上手な文章を書くことよりも、生産者自身の言葉で伝えることが大切です。

POPに書く内容を見つける4つの質問

何を書けばよいか迷ったときは、次の質問から考えてみてください。

  • どんな思いで、この商品を作りましたか?
  • 栽培や収穫で工夫したことはありますか?
  • どんな味や食感を楽しめますか?
  • おすすめの食べ方や料理はありますか?

すべてを書く必要はありません。

一つだけでも、お客さまに伝えたいことを選んで、自分の言葉で書いてみてください。

まずは一商品、一枚のPOPから

最初から完璧なPOPを作ろうとしなくても大丈夫です。
まずは、自分が特におすすめしたい商品を一つ選びます。

そして、その商品を目の前のお客さまに紹介するつもりで、一枚書いてみてください。

今回ご紹介した92歳の生産者さんのPOPは、難しいテクニックよりも大切なことを教えてくれています。

商品の向こう側にいる「人」や「想い」が見えるとき、野菜の魅力は、よりお客さまに伝わりやすくなるのではないでしょうか。

書籍 売れるPOPの書き方ハンドブック表紙

POPに何を書けばいいか迷った方へ

「お客さまに話しかけるように書く」と分かっても、実際に白い紙を前にすると、言葉が浮かばないことがあります。

『売れるPOPの書き方ハンドブック』では、商品の選び方から、伝える内容、レイアウト、ペンの使い方まで、手書きPOPを実践するための手順を具体的に解説しています。

POPをこれから始めたい方や、書いているけれど成果につながらないと感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。

ABOUT US
臼井浩二POPコミュニケーション合同会社 代表
POPコミュニケーション合同会社 代表。直売所・道の駅の売場づくりや、生産者の商品の魅せ方を通じて、「こだわりや美味しさが伝わる売り方」を支援しています。 原点は、大阪・千里中央の産直店での現場経験。社員2名・売場30坪の小さな店舗で、農産物の価値や生産者の想いを伝える工夫を重ね、年商1.3億円を達成しました。 現在は、全国の直売所・道の駅・JA・自治体などで、売場改善や集客、農家・生産者向けの研修や講演を実施。袋詰めの工夫、商品の見せ方、POPや売場づくりなど、すぐに実践できる内容を大切にしています。 運営者プロフィールを見る →