農産物の販売戦略:道の駅だけが全てじゃない!あなたの商品がもっと高く売れる場所があるかも?

「丹精込めて作った農産物、どこに売るのが一番良いのだろう?」

もしあなたが農産物の生産者であれば、一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。

地元の道の駅やスーパーへの出荷、人によって様々な販売方法があるでしょう。しかし、今現在利用している販売先が、本当にあなたの農産物を最も高く評価してくれる場所なのでしょうか?もしかしたら、今以上の利益を得られる、新たな販売経路があるかもしれません。

今回は、高知県立農業大学校での講義でもテーマになった「市場外流通」を例に、農産物の多様な販売経路について考えていきましょう。

産直アドバイザーの臼井浩二が、高知県立農業大学校で市場外流通の講義を行った際のホワイトボード
生徒たちが考えた、生産者から消費者へ農産物が届くまでの市場外流通の経路

市場外流通って何? – 選択肢を知ることの重要性

「市場外流通」という言葉、聞き慣れない方もいるかもしれませんね。一般的にイメージされる「市場」とは、卸売市場のこと。市場外流通とは、文字通り卸売市場を通さない販売方法全般を指します。

ここで大切なのは、市場流通と市場外流通のどちらが良い・悪いという話ではない、ということです。それぞれの流通経路にはメリット・デメリットがあり、大切なのはそれらの選択肢を「知る」こと。その上で、ご自身の状況に合った最適な選択をすることが、より良い農業経営に繋がるのです。

実例から見る市場外流通の可能性

私自身、30歳の頃に大阪の産地直送店で働いていました。そこでは主に高知県の生産者さんから直接送られてくる野菜や果物、加工品を販売しており、まさに市場外流通が中心でした。

例えば、高知県でイチゴを生産している山本さんという方がいるとします。山本さんのイチゴが美味しいという評判を聞けば、直接連絡を取り、「うちのお店で山本さんのイチゴを売らせてもらえませんか?」と交渉するのです。このように、生産者と直接取引を行うことで、およそ300〜400人もの生産者さんと取引をさせていただいていました。

市場外流通のメリットは、多岐にわたります。

  • 中間マージンの削減:卸売市場や仲卸業者を通さないことで、間に発生する手数料を抑えることができます。これにより、生産者の手元に残る利益を増やせる可能性があります。
  • リアルタイムな情報共有:生産者と直接やり取りすることで、「もうすぐジャガイモが収穫できるよ」「今の玉ねぎはもうすぐ終わりだよ」といった生育状況や収穫状況の生きた情報をリアルタイムで得られます。これは、小売店側からすると販売計画を立てる上で非常に大きなメリットとなります。
  • 飲食店との連携:私が働いていた産直店には、オーガニック野菜にこだわるイタリアンレストランのシェフやオーナーがよく仕入れに来ていました。スーパーでは手に入りにくい西洋野菜や、生食で特に味の差が出るキャベツなどを求めていましたね。これは、生産者が直接レストランと繋がり、農産物を供給する「市場外流通」の一例と言えるでしょう。
産直アドバイザーの臼井浩二が、高知県立農業大学校で市場外流通の講義を行った際のホワイトボード
どんなメリット・デメリットがあるのか?流通経路ごとに生徒たちが考えた

あなたの農産物に合った販売経路を見つけるヒント

では、具体的にどのようにして新たな販売経路を探せば良いのでしょうか?

  • 直接販売:最も分かりやすいのは、販売先に直接持っていく方法です。飲食店や地域の小売店など、あなたの農産物を必要としている場所は意外と近くにあるかもしれません。
  • 生産規模による検討:あなたの生産規模によっても、最適な販売方法は変わってきます。
  • 少量多品種の場合:道の駅や直売所での販売が適しているかもしれません。
  • ある程度の量を生産している場合:例えば、高知県の特産品であるゆずを大量に生産している場合、道の駅で小分けにして販売するだけでなく、ゆずジャムを製造している会社など、大量に買い取ってくれる加工業者との契約も考えられます。実際に私の知人の生産者さんで、ジャムの製造会社さんと、トン単位で柑橘類を契約している方もいます。

自分だけのビジネスモデルを構築する

高知県立農業大学校の生徒たちと行ったワークでは、「半年後に農家として起業するとしたら、市場外流通を前提にどのような販売経路で、どのような工夫をするか」というビジネスモデルを立てるというものがありました。

ある生徒は、ブルーベリーの観光農園を考えていました。お客さんが収穫してくれるため、自身の収穫作業を削減できるというメリットがある、と説明していましたね。

このように、既成概念にとらわれず、ご自身の農産物の特性や生産規模、そして「誰に、どのように届けたいか」を深く掘り下げて考えることで、ユニークで利益を生み出す販売戦略が見えてくることがあります。

まとめ:販売先は一つじゃない!

今回のテーマは「農産物の販売先は一つじゃない」ということでした。現在利用している販売方法が、本当にあなたの農産物を最も高く評価し、最大の利益をもたらしてくれるものなのか、今一度考えてみてください。

  • もっと高く買い取ってくれる場所はないか?
  • コストや手間を減らせる方法はないか?
  • 収益を上げる新たな方法は見つからないか?

このような視点を持ってアンテナを張ることで、これまでとは違う販売戦略やアプローチが見えてくるはずです。今回の内容が、あなたの農業経営の新たなヒントになれば幸いです。

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「農産物の販売戦略:道の駅だけが全てじゃない!あなたの商品がもっと高く売れる場所があるかも?」

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