「うちの野菜の魅力を、どう伝えたらいいだろう?」
「SNSには、何を書けばいいんだろう?」
農産物を販売していると、
「何を伝えるか」「どう発信するか」に悩むことがあります。
そんなとき、言葉や発信方法を考える前に、
一度考えてみてほしいことがあります。
「誰に届けたいのか?」
です。
勉強熱心なあなたにすれば、
「そんな話、知ってるよ」と思われるかもしれません。
一方で、実践レベルに落とし込めている方は
意外と少ない印象です。
先日担当した研修でも、
農家を例にしながら、この「誰に?」から考えるワークを行いました。
同じレモンでも、相手が変われば伝える内容は変わる
たとえば、あなたがレモン農家だとします。
収穫したレモンを販売するとき、何を伝えるでしょうか。
「香りがいい」
「新鮮です」
「地元で育てました」
「農薬をできるだけ使わず育てました」
いろいろな特徴が浮かぶと思います。
では、少し条件を変えてみましょう。
Q:女子高校生に販売するとしたら、
何を伝えますか?
さらにもう一つ、
Q:80代の男性に販売するとしたら?
なにかヒントをつかみたいと思われるなら
面倒だと思わずに、ぜひ考えてみてください。

「何を伝えるか」の前に、誰に?
もちろん、年齢や性別だけで
相手の価値観を決めることはできません。
ただ、ここで大切なのは、
相手が変われば、気になることや求めていることも変わる。
ということです。
同じレモンを販売していても、
誰に届けるかによって、伝える内容は変わります。
つまり、
「何を伝えるか」の前に、
「誰に伝えるか」を考える。
ここがスタートです。
Step1 まず「誰に?」を考える
すべての人に買ってもらおうとすると、
伝える内容はどうしてもぼんやりします。
そこで、まず考えたいのが、
すでに動く理由を持っている人は誰か?
ということです。
研修では、このような人を「腹ペコ客」と呼んでいます。
腹ペコ客とは…
お金・時間・手間・エネルギーを使ってでも、
何かを手に入れたい、変えたいと思っている人。
たとえば農産物であれば、
- 毎週、直売所へ野菜を買いに行っている人
- 野菜のおいしさや鮮度にこだわっている人
- 子どもの食事を気にしている人
- 贈答用の果物を探している人
- 料理が好きで、食材選びを楽しんでいる人
- すでに有機野菜やこだわりの食材を購入している人
などが考えられます。
「野菜を食べる人」と大きく捉えるのではなく、
今、その人は何を求めて動いているのか?
まで考えることで、相手の姿が具体的になります。

Step2 「なにを?」伝えるのか
届けたい相手が見えてきたら、
次に考えるのが、
その人にとって、自分の農産物の何が価値になるのか?
です。
ここで大切なのは、
自分が伝えたい特徴を並べることではありません。
考えたいのは、
相手が求めていること × 自分が持っているもの
の重なりです。

特徴+誰に=価値
たとえば、
「朝採れです」
「山間部で育てています」
「昔からこの地域で作られている品種です」
「少量ずつ手作業で育てています」
これらは、まずは商品の「特徴」です。
その特徴が、相手にとって、
「新鮮なものを食べたい」
「子どもに旬の味を知ってほしい」
「その土地ならではのものを贈りたい」
「作り手が分かるものを選びたい」
という願いに役立ったとき、価値になります。
地域の人にとっては当たり前の畑や風景、
作り方、農家の日常も、相手によっては魅力になります。
自分たちにとっての当たり前が、誰かにとっての価値になる。
そのためにも、最初の「誰に?」が大切になります。
Step3 最後に「どうやって?」
ここまで考えてから、初めて「どうやって届けるか」を考えます。
「どうやって?」というと、
Instagramなのか。
チラシなのか。
POPなのか。
動画なのか。
と、発信媒体を思い浮かべる方も
多いのではないでしょうか。
ただ、その前にもう一つ考えたいことがあります。
どんなカタチなら、相手が価値を実感しやすいか?
です。

たとえば、
- 試食してもらう
- おすすめの食べ方を一緒に伝える
- 少量のお試しセットをつくる
- 収穫体験を行う
- 贈答用セットにする
- 農家本人が店頭に立って話す
なども、「どうやって?」の一つです。
そして、その価値を求めている人が、
どこに集まっているのか?
普段どこで情報を集めているのか?
を考えます。
直売所かもしれません。
マルシェかもしれません。
Instagramかもしれません。
料理教室や地域イベントかもしれません。
大切なのは、
「Instagramをやる」と決めてから
発信内容を考えるのではなく、
届けたい人がいる場所から手段を考えること。
SNSで何を発信するか迷ったときこそ、順番を戻してみる
SNSを続けていると、
「今日は何を投稿しよう」
「どんな写真なら見てもらえるだろう」
「どんな言葉なら反応が増えるだろう」
と、「どうやって?」ばかり考えてしまうことがあります。
そんなときこそ、一度順番を戻してみます。
だれに?
誰に動いてほしいのか。
なにを?
その人にとって、自分の農産物の何が価値になるのか。
どうやって?
どんなカタチなら、その価値を実感してもらえるのか。
その人はどこにいるのか。
この3つを整理してからSNSを見ると、
発信する内容も変わってくるはずです。
AIを使うときも、先に「誰に・なにを」を考える
最近は、SNSの投稿文やPOP、商品紹介文を
AIに考えてもらう方も多いのではないでしょうか。
便利な一方、
「このトマトの紹介文を考えて」
だけでは、どうしても一般的な文章になりやすいです。
その前に、
- 誰に届けたいのか
- その人は何を求めているのか
- この農産物の何が、その人の役に立つのか
- どんな場面で食べてもらいたいのか
を整理してからAIに相談すると、
やり取りの質も変わります。
AIに言葉を考えてもらう前に、
伝える内容の芯を自分で持っておく。
これは、これからますます大切になると思います。
「何を伝えるか」の前に、「誰に」を考える
今回ご紹介した、
だれに?
なにを?
どうやって?
という3つのステップは、
先日、高知県地域おこし協力隊の皆さんを対象にした
「相手を動かす伝え方」研修でもお伝えした内容です。
研修では、参加者の皆さんにも
レモン農家になったつもりで考えていただきながら、
「相手が変わると、伝える内容も変わる」
ことを体験していただきました。
情報発信や販売方法に迷ったときほど、
すぐに新しい手段を探すのではなく、
まず「誰に?」へ戻ってみる。
そこから、自分では当たり前だと思っていた
商品の特徴や地域の日常が、
新しい価値として見えてくることがあります。
自分が伝えたいことではなく、
相手が動く理由を伝える。
農産物の魅力を伝えるときも、
まずは目の前のお客さまを思い浮かべることから
始めてみてはいかがでしょうか。
※地域おこし協力隊向け「相手を動かす伝え方」研修の様子は、
POPコミュニケーション合同会社の公式サイトでもご紹介しています。
[ 研修記事はこちら]













