お客さまが、直売所や道の駅に求めること。
スーパーに求めること。
ここには、違いがあります。
スーパーで売れる野菜を、直売所で売っても売れません。
その逆もしかり。
なぜなら、「直売所や道の駅で売れる野菜」と「スーパーで売れる野菜」は違うからです。
この違いをうまく見極めることが出来れば、売れる農産物の実現に直結します。
直売所に求められる野菜、
それは一体何なのか?
少し分かりやすく事例を交えてご紹介します。
全く売れなかったトマト
大阪の産直店で働いていた時の話です。
ある朝、8時前に出勤。
いつも通り、お店の外に設置されていた予冷庫の扉を開けました。
夜中の間に高知県から届いた野菜が入っています。
コンテナを引っ張り出し、売場へ順に陳列。
30~40分かけて、この作業を毎朝おこないます。
すると、その送ってもらった野菜のなかのミニトマトに目が留まりました。
透明の正方形のパックに入ったミニトマト。
通常、農家さんからお店に送られてくるトマトは、袋に入っているものが多いんです。
OPP袋の上部をバックシーリングテープで留める。
この形状です。
しかし、この農家さんのミニトマトは違いました。
スーパーの売場に陳列されていてもおかしくない、綺麗な透明パック。
確か、パックには
「○○農園」
といった印字も容器のふた部分にされていたと思います。
そしてバーコードの値段を見ると、
「150円」
この綺麗なパッキング。
値段も150円と高くない。
「午前中のうちに売り切れるだろうな…」
と予測しました。
オープンから3時間経過。
午後13時過ぎ。
10時の開店から約3時間が経過。
産直野菜の売場の手直しに向かいました。
コンテナのお野菜を順に整理していると、ある光景に出くわしたのです。
朝一に並べていたパックに入っていた「○○農園」さんのミニトマト。
「午前中には売り切れるだろう…」
そう踏んでいた私の予想を100%裏切りました。
なんと、ほぼ朝陳列した状態のままミニトマトが残っていたのです。
その場で正確に数を数えませんでしたが、入荷した50パックのうち、
「2~3パック売れただろうか?」
という位しか売場のコンテナからは減っていませんでした。
思わず目を疑いたくなりました。
ミニトマトが売れなかった理由
あんなに綺麗にパック詰めされていたミニトマト。
「なぜ売れなかったんだろう?」
かなり疑問でした。
自分なりに、その理由を探したくなりました。
これまで売れると踏んだお野菜は、その通り売れる。
自分の農産物を見る視点には、自信があるつもりでした。
しかし、今回ばかりは…100%裏切られた。
なぜだろう?
考えてみました。
すると、ある1つの理由が頭に浮かんできました。
「もしかして、綺麗過ぎた?」
ミニトマトが入れられていた透明の正方形のパック容器。
初めは、
「これが売れる要因になる」
と踏んでいたけど、かえってこれのお蔭で売れなくなった?
そう思い直したのです。
お客さまが直売所の野菜に求めること
お客さまが直売所に求めること、
その1つに、
『手作り感』
があります。
要は、私がいたお店であれば、高知県の農家さんがつくってくれたお野菜。
それをお客さまは求めて買いに来られていました。
言ってみれば、
『農家さんの手作り感』
を感じる野菜を求めていたわけです。
しかし、今回のミニトマト。
もしかすると、あの綺麗な透明のパック容器。
これを見たときにお客さまは、
『スーパーでも売られている野菜』
そんな風に感じたのではないか?
と思いました。
直売所や道の駅に来られるお客さまは、スーパーに行くのとは違う
『何か?』
を求めて来店されています。
なので、スーパーで同じものを並べていても売れにくいです。
わざわざ、直売所で買う必要がないからです。
「スーパーで買えばよい」
そう思うのです。
売れる野菜を実現するために
あなたが直売所や道の駅に野菜を出荷されるとき、今日の話を忘れないでください。
お客さまは、直売所や道の駅に求めていることは何か?
スーパーさんとは「違う」何かを求めています。
その何かをあなたのお野菜を通じて感じさせてあげなければなりません。
逆に、
「あぁ、これならスーパーに売っていそうだ」
と思われたら、その時点で負けです。
売れません。
多くの直売所や道の駅に来店されるお客さまが求めるもの。
恐らくですが、
『農家さんの手作り感』
ここを求めていると思います。
あなたのお野菜を通じて、手作り感を感じられるかどうか?
うまくここを叶える事ができれば、直売所や道の駅でもあなたのお野菜は売れます。
お客さまに買って頂けます。
ぜひ一度、チェックしてみて下さい。
スーパーで売っていそうな野菜(形状)か?
直売所に似合う野菜なのか…?
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