直売所の生産者確保に必要なのは、「出荷者」ではなくパートナーとして考えること

直売所の売り場で商品について話す生産者と店舗スタッフ

直売所を継続して運営していくうえで、生産者の確保は避けて通れない課題です。

「新しい生産者に出荷してもらいたい」
「もっと商品の数を増やしたい」

そう考えて、生産者を募集している直売所も多いと思います。

もちろん、新しく出荷してくださる方を探すことも大切です。

一方で、生産者確保を「人数を集めること」だけで考えてしまうと、なかなか解決につながらないことがあります。

大切なのは、すでに出荷してくださっている生産者が、これからも無理なく出荷を続けられる環境をつくること。

そして、生産者を単なる「商品の出荷者」ではなく、一緒にお店を盛り上げるパートナーとして考えることではないでしょうか。

商品を集めるだけでは、直売所は続かない

直売所にとって、商品は欠かせません。

新鮮な野菜や果物、地域ならではの加工品が並ぶからこそ、お客さまは足を運んでくださいます。

そのため、どうしてもお店側は、

「もっと商品を出してください」
「この時期の商品が足りません」

と、生産者にお願いすることが多くなります。

しかし、生産者にもそれぞれ事情があります。

高齢になり、これまでと同じ量を作ることが難しくなった方。
袋詰めや値札貼りに負担を感じている方。
出荷しても売れ残るのではないかと、不安を感じている方。

お店側が商品を求めるだけでは、生産者の負担は少しずつ大きくなっていきます。

「なぜ出荷が減っているのか」
「何が負担になっているのか」

まずは生産者の声を聞くことが、生産者確保の第一歩になると思います。

生産者の負担を、お店側で一つ減らせないか

直売所への出荷に向けて野菜を袋詰めする生産者
直売所への出荷には、収穫以外にも袋詰めや値札貼りなど、さまざまな作業があります

2026年9月、九州農政局が公表した食料システム法の認定事例に、興味深い取り組みがありました。

ある食品加工会社が、もずくの生産者に新しい養殖網を貸し出し、収穫や選別方法の指導まで行うというものです。

生産者の作業負担を軽くしながら、収量を増やし、加工会社としても原料を安定して確保することを目指しています。

直売所の事例ではありませんが、この考え方には共通するものがあります。

商品を仕入れる側が、生産者に「もっと作ってください」とお願いするだけではありません。
生産者が作り続けやすい環境を、一緒につくろうとしています。

直売所でも、できることはあるはずです。

たとえば、

  • 袋や容器をそろえやすくする
  • 値札づくりを手伝う
  • 出荷規格を分かりやすくする
  • 売れ筋やお客さまの声を伝える
  • 少量でも出荷しやすい売り場をつくる
  • POPや食べ方の紹介をお店側で支援する

一つひとつは、小さなことかもしれません。

しかし、その小さな工夫が、生産者の「もう少し続けてみよう」につながることがあります。

「売れた理由」を生産者に返す

生産者に販売結果を伝えることも、大切な支援の一つです。

「今日は10袋売れました」という数字だけではなく、

「この食べ方を紹介したら、手に取る方が増えました」
「お客さまが、やわらかくておいしかったと話していました」
「少し小さめの袋が、一人暮らしの方に喜ばれました」

このような情報を返すことで、生産者は次の商品づくりや出荷の仕方を考えられます。

自分の商品がお客さまにどのように届いているのかが分かると、出荷する楽しさにもつながります。

売り場づくりは、お店のスタッフだけが行うものではありません。

生産者の経験や知恵、お客さまの声を持ち寄りながら、一緒につくっていくものだと思います。

生産者確保は、関係づくりから

生産者確保というと、新しい人を募集することに目が向きがちです。

しかし、新しい生産者を探す前に、今出荷してくださっている生産者との関係を見直すことも必要です。

商品を持ってきてもらう人ではなく、地域の魅力を一緒に届けるパートナーとして考える。
お店の都合だけを伝えるのではなく、生産者が困っていることにも目を向ける。

そして、お客さまの反応や喜びを、生産者に返していく。

この積み重ねが、生産者が出荷を続けたくなる直売所につながっていくのではないでしょうか。

みなさんの直売所では、生産者の負担を減らすために、お店側でできることはないでしょうか。
まずは一つ、生産者の声を聞くところから始めてみませんか。

※参考:九州農政局「食料システム法に基づく計画認定制度」
https://www.maff.go.jp/kyusyu/syokuryou/foodsystem/ninteikeikaku.html

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臼井浩二POPコミュニケーション合同会社 代表
POPコミュニケーション合同会社 代表。直売所・道の駅の売場づくりや、生産者の商品の魅せ方を通じて、「こだわりや美味しさが伝わる売り方」を支援しています。 原点は、大阪・千里中央の産直店での現場経験。社員2名・売場30坪の小さな店舗で、農産物の価値や生産者の想いを伝える工夫を重ね、年商1.3億円を達成しました。 現在は、全国の直売所・道の駅・JA・自治体などで、売場改善や集客、農家・生産者向けの研修や講演を実施。袋詰めの工夫、商品の見せ方、POPや売場づくりなど、すぐに実践できる内容を大切にしています。 運営者プロフィールを見る →